本記事は、Coadmap プラットフォームの AI エージェント機能「Yata」をご利用・ご検討いただくお客様向けに、データの取り扱い・セキュリティ統制・プライバシー保護の仕組みを説明するものです。記載内容は実装およびインフラ構成に基づく事実をもとに作成しています。
1. よくあるご質問への回答
Q1. お客様のデータで AI モデルを学習していますか?
いいえ。Yata は学習経路を持ちません(No-Training Architecture)。
Yata には、機械学習モデルの訓練・ファインチューニング・継続学習を行う処理経路が一切存在しません。LLM への呼び出しはすべて推論(inference)API のみです。
利用する各 LLM プロバイダー(Anthropic / OpenAI / Google)の API は、いずれもビジネス向け API 経由で送信されたデータをモデル学習に使用しないことを規約上のデフォルトとしています。Yata 側でこのデフォルトを覆す設定は一切行っていません。
BYOK(Bring Your Own Key)をご利用の場合、LLM プロバイダーとの契約主体はお客様自身となるため、お客様が各プロバイダーと締結したデータ利用条件(ゼロデータリテンション契約等)がそのまま適用されます。
この点は第三者による再現検証が可能な形で文書化しており、調達要件等でご入用の際は検証資料をご提供できます。
Q2. データはどこを通り、どこに保存されますか?
会話データはすべて Google Cloud Platform 東京リージョン(asia-northeast1)内の PostgreSQL に保存されます。 LLM プロバイダーへの送信は推論のための一時的な処理であり、Yata 側から学習・保存を指示することはありません。
Q3. 組織内でセッションが共有されるが、参加していないプロジェクトの情報が他メンバーに漏れないか?
2 つのレイヤーで保護されています。
AI がデータを取得できる範囲(厳格に制限): Yata がツール経由で Coadmap のデータ(タスク・ノート等)を取得する際は、セッション作成者本人のアカウント権限に限定された API キーが使われます。セッション作成者がアクセスできないプロジェクトの情報を、AI が取得することは構造上できません。「AI に聞けば、自分が見られないプロジェクトの情報が引き出せる」という権限昇格は発生しません。
セッションの閲覧範囲(ユーザーが選択可能): Yata のチャットセッションは、作成者が公開範囲を選択できます(既定はプライベート)。組織内で知見を共有したいセッションは組織メンバーに公開し、機密性の高い内容を扱うセッションは閲覧範囲を限定する、という使い分けが可能です。組織内公開のセッションも、特定のタスクやノートに紐づく場合はその閲覧権限を持つメンバーに自動的に限定されます。
2. アーキテクチャとデータフロー
処理の流れは以下のとおりです。すべての永続データは GCP 東京リージョン内に保存されます。
ユーザーが Coadmap 上で Yata にメッセージを送信(TLS で暗号化)
Coadmap Backend がユーザー認証を行い、セッション作成者の権限に紐づくコンテキスト(発言者情報、セッション主題、ツール用 API キー)を組み立てて Yata に渡す
Yata が LLM プロバイダーに推論リクエストを送信(プロンプト+会話履歴+ツール定義)
AI が Coadmap のデータを必要とする場合、MCP Server 経由でツールを実行。このとき使用される API キーはセッション作成者の権限スコープであり、認可判定は Coadmap Backend が行う
応答がユーザーに返却され、会話履歴が PostgreSQL に保存される
重要な構成上の特性:
Yata サービスはインターネットに公開されていません。プライベートネットワーク内の内部サービスとして稼働し、Coadmap Backend からの内部通信でのみ到達可能です。
MCP Server は権限判定を自前で持たず、すべての認可を Coadmap Backend に委譲します。権限ロジックが一箇所に集約されるため、AI 経由のアクセスが通常の API アクセスより緩い権限になることはありません。
3. AI 学習(トレーニング)に関するポリシー
3.1 Yata 自体は学習を行わない
Yata は「お客様データで賢くなる」タイプのシステムではありません。モデル訓練用ライブラリへの依存、訓練・ファインチューニングを行う API 呼び出し、会話履歴のグローバル学習用プール、LLM プロバイダーの学習オプトアウトを覆す設定は、いずれも存在しません(会話履歴はセッション単位で分離保存されます)。
なお、Yata には「ユーザーからの指摘(フィードバック)を記録し、AI の行動指針(プレイブック)の改善に反映する」機能があります。これは ChatGPT のメモリ機能や Devin の Knowledge / Playbook と同種の、プロンプトの一部として参照されるテキスト情報であり、モデルのパラメータを変更する「学習」とはまったく異なります。記録されたフィードバックはお客様の組織内でのみ参照され、組織外や他のお客様のために利用されることはありません。
3.2 LLM プロバイダーにおけるデータの取り扱い
Anthropic(Claude): デフォルトで学習に使用しない
OpenAI(GPT): ビジネス API 経由のデータはデフォルトで学習に使用しない
Google(Gemini, 有料枠 API): プロンプト・応答を学習に使用しない
詳細は各社の最新の規約をご確認ください。
3.3 BYOK(Bring Your Own Key)による主権の確保
BYOK 有効時、推論にはお客様自身が LLM プロバイダーと契約した API キーが使用されます。データ処理の契約関係がお客様とプロバイダーの間に直接成立するため、お客様がプロバイダーと合意したリテンション条件・リージョン条件等がそのまま適用されます。
お預かりした API キーは、データベース上でアプリケーションレベル暗号化(非決定的暗号化)を施して保存されます。データベースのバックアップやダンプにも平文キーは含まれません。
API キーはログに出力されません(マスキング機構により、識別用の末尾 4 桁フィンガープリントのみが記録されます)。
4. データの経路と保存場所
4.1 保存されるデータ
チャット本文・セッションメタデータ・トークン使用量: Coadmap データベース(PostgreSQL / 東京リージョン、保存時暗号化)
AI の会話状態(メッセージ履歴・コンテキスト): Yata 専用に分離されたデータベース(同上)
BYOK API キー: 保存時暗号化に加えアプリケーションレベル暗号化の二重保護
保存されないもの: Yata サービス自体はステートレスに近く、MCP 用 API キーや BYOK キーをディスクに永続化しません。MCP Server はステートレスで、ユーザーデータを一切保存しません。LLM プロバイダー側にデータの保存・学習を指示するパラメータは設定していません。
4.2 LLM プロバイダーに送信されるデータ
推論のために、ユーザーのメッセージ本文と会話履歴、セッションの主題情報(タスク名・ノートタイトル等)、ツール実行結果(AI がセッション作成者の権限で取得した Coadmap データ)、発言者の表示情報が送信されます。送信は TLS で暗号化され、用途は推論のみです。
4.3 データレジデンシーと保持・削除
お客様データの永続保存先はすべて GCP asia-northeast1(東京リージョン)です。データベースはプライベート IP のみで稼働し、インターネットから直接到達できません。
アカウント・組織の削除時は、関連する全セッション・全チャットメッセージが連動して確実に削除されます。セッション単位の削除・アーカイブも提供しています。
データベースは自動バックアップ(30 世代保持)と Point-in-Time Recovery(7 日間)が有効です。削除されたデータはバックアップのライフサイクルに従って消滅します。
5. テナント分離とアクセス制御
5.1 多層のアクセス制御
データアクセスは「組織 → 組織メンバーシップ → プロジェクトメンバーシップ → タスク・ノート等のリソース」の階層で制御されます。プロジェクト(ワークスペース)には公開設定があり、メンバー限定に設定したプロジェクトは、明示的に参加していない組織メンバーからはタスク等にアクセスできません(組織内公開設定のプロジェクトは組織メンバーが閲覧できます)。すべてのデータはテナント単位で論理分離されており、API レイヤーで認可判定が行われます。
5.2 AI のデータアクセスは「セッション作成者の権限」に限定
AI がツール(MCP)経由でデータを取得する際に使う API キーは、組織+アカウントの組み合わせに紐づく個人スコープのキーです(データベースには平文を保存せず、ハッシュ値のみを保持)。
このキーで実行されたツール呼び出しの認可は、すべて Coadmap Backend がそのアカウント本人の権限として判定します。
結果として、「AI に聞けば、自分が見られないプロジェクトの情報が引き出せる」という権限昇格は構造的に発生しません。
5.3 セッションの閲覧範囲
セッションの公開範囲は作成者が 3 段階から選択できます。
プライベート(既定): 作成者のみ(運営の管理者アカウントからも閲覧できません)。組織内の他メンバーの一覧に存在自体が表示されません
組織内公開: 同一組織のメンバー。セッションが特定のタスクやノートに紐づく場合は、その閲覧権限を持つメンバー(= 当該プロジェクトの参加者)に自動的に限定されます
公開: URL を知っているユーザー
公開範囲を変更できるのはセッションの作成者本人のみです。機密性の高いプロジェクトの情報を扱うセッションは公開範囲を限定し、不要になったセッションは削除・アーカイブすることを推奨します。
6. API キー・シークレット管理と通信の保護
BYOK LLM API キーはアプリケーションレベル暗号化(非決定的)でデータベースに保存。ログには識別用の末尾 4 桁のみ記録されます。
MCP 用個人スコープキーはハッシュ値のみ保存(平文非保存)。Yata 側でも永続化しません。
システム間通信キーやインフラシークレットはクラウドのシークレット管理サービスに集約し、IAM ベースのアクセス制御で保護しています。
ユーザーとの通信は HTTPS(TLS)のみで、HTTP は無効化。内部サービス間はプライベートネットワーク内の通信のみで、Yata・MCP Server は外部非公開です。境界防御として WAF を配置しています。
7. ログ・監視
構造化ログ: 機密値(API キー・トークン類)はマスキング機構で伏字化され、ユーザーの会話本文はログに平文で記録されません(長さ情報のみに置換)。ログへのアクセスは IAM で運用担当者に限定されています。
エラー監視: エラー監視サービス(Sentry)を利用していますが、個人情報の自動収集は無効化しており、会話本文はエラーレポートにも到達しません。
外部トレーシングなし: 会話内容を外部の解析・トレーシングサービスに送信する仕組みは導入していません。
8. LLM アプリケーション特有のリスクと対策
プロンプトインジェクション: 最重要の緩和策は権限の最小化です。AI が使えるツールはセッション作成者本人の権限に限定されており、インジェクションが成功しても本人が見られない・操作できないデータには到達できません。
過剰な代理行動: ツールは Coadmap 内のデータ参照・操作に限定(任意のコード実行・外部 Web アクセス機能なし)。ツール呼び出しループには上限回数があります。
学習によるデータ流出: No-Training Architecture により構造的に発生しません。
出力の過信: AI 応答は提案として提示され、タスク等への反映はユーザーの操作・確認を介する設計です。
9. 副処理者(サブプロセッサ)一覧
Yata 機能の提供にあたり、お客様データが到達しうる外部事業者は以下に限定されます。
Google Cloud Platform: ホスティング・データ保存(東京リージョン、保存時・転送時暗号化)
Anthropic / OpenAI / Google(Gemini API): LLM 推論(プロンプト・会話コンテキスト。学習利用なし)
Sentry: エラー監視(エラー情報のみ。PII 自動収集は無効)
BYOK ご利用時、LLM プロバイダーはお客様の直接契約先となり、上記の副処理者からは実質的に外れます。
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